オンライン授業・ウェビナーの効果を高める画面共有とツールの活用法
オンライン教育・研修におけるライブ配信(オンライン授業、ウェビナー)では、単に話すだけでなく、視覚的な情報提示や参加者とのインタラクションが非常に重要です。その実現に不可欠なのが、画面共有機能やオンライン会議ツールに搭載されている様々な便利ツールです。
本記事では、これからオンライン授業やウェビナーを始める方、あるいは活用方法を改善したいと考えている方に向けて、画面共有機能の基本的な使い方から、ホワイトボード、チャット、ブレイクアウトセッションなどのツールを効果的に利用するためのノウハウと注意点について解説いたします。
オンライン教育・研修における画面共有の基本
画面共有は、自分のPCやタブレットの画面を参加者に見せる機能です。資料の提示、操作方法の説明、動画の共有など、多岐にわたる用途で活用できます。
主要なオンライン会議ツール(Zoom, Microsoft Teams, Google Meetなど)では、一般的に以下の種類の画面共有が可能です。
- デスクトップ(画面全体)の共有: PC画面全体をそのまま共有します。複数の資料を頻繁に切り替える場合などに便利ですが、意図しない情報(デスクトップ上のファイル名、通知など)が見える可能性があるため注意が必要です。
- 特定のウィンドウ/アプリケーションの共有: 開いているアプリケーションのウィンドウを一つだけ選んで共有します。共有したい情報以外は見えないため、プライバシーや情報漏洩のリスクを減らせます。特定の資料(例:PowerPointのスライドショー)を見せたい場合に適しています。
- 特定のファイルの共有: 一部のツールでは、PDFファイルや画像ファイルなどを直接指定して共有できます。
共有前の準備と共有中の操作
画面共有を行う前には、いくつかの準備をすることをお勧めします。
- 不要なウィンドウを閉じる: 共有中に他のウィンドウが誤って表示されることを防ぎます。
- 通知をオフにする: メールやチャットの通知などが画面上に表示されるのを防ぎ、受講者の集中を妨げないようにします。
- 共有する資料を開いておく: 共有開始後にもたつくことなくスムーズに始められます。
- 音声共有の設定を確認する: 動画や音声付き資料を共有する場合は、「コンピューターの音声を共有」といった設定をオンにする必要があります。
共有中は、ツールによってポインター機能(マウスカーソルを目立たせる)、書き込み(注釈)機能、スポットライト機能などが利用できます。これらを活用することで、受講者に注目してほしい箇所を明確に示すことが可能になります。
オンライン授業・ウェビナーで役立つ便利ツール
画面共有以外にも、オンライン会議ツールには教育・研修目的で非常に有用なツールが多数搭載されています。
-
ホワイトボード機能:
- 画面上に手書きや図形を描画できる共有のホワイトボードです。
- 口頭での説明に加えて視覚的な補足をしたい場合や、受講者にも書き込んでもらい共同でアイデアを出し合うブレインストーミングなどに活用できます。
- ツールによっては、共同編集機能や作成したボードのエクスポート機能があります。
-
チャット機能:
- リアルタイムでの文字によるコミュニケーション機能です。
- 講義中に質問を受け付けたり、関連資料のURLを共有したり、受講者同士の意見交換を促したりと、多目的に利用できます。
- 質疑応答はチャットで受け付け、区切りの良いところでまとめて回答するといった進行方法も一般的です。
-
リアクション機能:
- 挙手、拍手、いいねなどの絵文字やアイコンで簡単な意思表示ができる機能です。
- 受講者の理解度を非言語的に確認したり、アイスブレイクや軽いアンケートに活用したりできます。「理解できたら拍手のリアクションをお願いします」といった形で利用すると、受講者の反応を把握しやすくなります。
-
ブレイクアウトセッション(グループ分け機能):
- 参加者を少人数のグループに自動または手動で分け、それぞれが独立したバーチャル空間(ブレイクアウトルーム)で議論や共同作業を行えるようにする機能です。
- グループワークやディスカッションを取り入れたい場合に非常に有効です。
- 進行役は各グループの状況を巡回したり、全体への呼びかけを行ったりできます。
-
投票/アンケート機能:
- 事前に設定した質問に対して、参加者にリアルタイムで投票してもらい、その結果を集計・表示できる機能です。
- 受講者の理解度確認、意見の分布把握、簡単な意識調査などに活用できます。匿名での実施も可能な場合があります。
効果的な活用法と注意点
これらのツールを効果的に活用するためには、いくつかのポイントがあります。
- 目的を明確にする: なぜそのツールを使うのか、どのような効果を期待するのかを明確にしましょう。例えば、資料提示のためなら画面共有、アイデア出しならホワイトボード、質疑応答ならチャット、深い議論ならブレイクアウトセッション、というように使い分けます。
- シンプルに始める: 最初から多くのツールを一度に使う必要はありません。まずは画面共有とチャットといった基本的な機能から慣れていき、徐々に利用するツールを増やしていくことをお勧めします。
- 使い方を事前に説明する: 特に初めて使うツールについては、受講者に向けて簡単に使い方を説明する時間を取りましょう。「画面下のメニューにあるチャットボタンをクリックしてください」「挙手のアイコンはこちらです」など、具体的な操作方法を示すと親切です。
- ツール間の連携を考える: 例えば、講義中にチャットで出た質問を、画面共有した資料やホワイトボードに書き込みながら解説するなど、複数のツールを組み合わせて使うことで、より分かりやすく深みのあるセッションになります。
- トラブルへの備え: 「画面共有が始まらない」「音声が共有されない」「ブレイクアウトルームに入れない」といったトラブルが発生する可能性も考慮しておきましょう。よくあるトラブルの簡単な対処法(例:ツールを再起動する、権限を確認する)を把握しておくと、いざという時に慌てずに済みます。
- アクセシビリティへの配慮: 画面共有する資料の文字サイズは十分に大きいか、色覚特性を持つ方にも配慮した配色か、音声共有の音量は適切かなど、多様な受講者が快適に参加できるよう配慮することも重要です。
まとめ
オンライン授業やウェビナーにおける画面共有と各種ツールの活用は、受講者の理解促進、参加意欲の向上、そしてより活発なコミュニケーションの実現に大きく貢献します。
まずは画面共有やチャットといった基本的な機能から使い始め、慣れてきたらホワイトボード、ブレイクアウトセッション、投票機能など、目的に合わせて利用するツールを広げていくのが良いでしょう。
ツールの使い方をマスターすることも大切ですが、最も重要なのは「これらのツールを使って、どのように受講者にとって学びやすく、参加しやすい場を作るか」という視点です。本記事でご紹介した内容が、皆様のオンライン教育・研修の質を高める一助となれば幸いです。