オンライン授業・ウェビナーで受講者と共同作業する共有ホワイトボード機能の実践活用ガイド
オンライン授業・ウェビナーで受講者と共同作業する共有ホワイトボード機能の実践活用ガイド
オンラインでの教育や研修において、受講者の理解を深め、主体的な参加を促すことは重要な課題です。ライブ配信(オンライン授業やウェビナー)中に、講師だけでなく受講者も参加して一緒に書き込みができる「共有ホワイトボード機能」は、この課題に対する有効な手段の一つとなり得ます。
本記事では、共有ホワイトボード機能の基本的な使い方から、教育・研修現場で役立つ実践的な活用アイデア、そして利用上の注意点について、初心者の方にも分かりやすく解説いたします。
共有ホワイトボード機能とは
多くのオンライン会議・授業ツール(例: Zoom, Microsoft Teams, Google Meetなど)に搭載されている共有ホワイトボード機能は、画面上に表示される仮想の白いボード(ホワイトボード)に、参加者全員(または許可された参加者)が自由に文字を書いたり、図を描いたりできる機能です。
物理的なホワイトボードを複数人で囲んで話し合いながら書き込むように、オンライン上でも視覚的な情報を共有し、共同で編集することが可能になります。これにより、講師の一方的な情報伝達だけでなく、受講者の考えやアイデアを引き出し、双方向のコミュニケーションを促進することができます。
共有ホワイトボード機能の基本操作
具体的な操作方法はツールによって若干異なりますが、基本的な流れは共通しています。ここでは一般的な操作手順を説明します。
1. ホワイトボードの開始方法
多くの場合、画面共有機能のオプションとして「ホワイトボード」を選択することで開始できます。
- Zoom: 画面下部の「画面を共有」ボタンをクリックし、表示される選択肢の中から「ホワイトボード」を選択します。
- Microsoft Teams: 会議コントロールバーの「共有」(上矢印アイコンなど)をクリックし、「Microsoft Whiteboard」を選択します。
- Google Meet: 会議コントロールバーの「画面を共有」または「今すぐ表示」をクリックし、「ウィンドウ」または「特定のタブ」から連携しているホワイトボードツール(例: Jamboard)を選択・共有します。
2. ツールバーの使い方
ホワイトボードが開始されると、書き込みや描画のためのツールバーが表示されます。主なツールは以下の通りです。
- ペン/描画ツール: 太さや色の異なる線で自由に書き込みます。
- 消しゴムツール: 書いた内容を消します。
- テキストツール: 文字を入力できます。キーボードを使って文字を打ち込む際に便利です。
- 図形ツール: 四角、丸、矢印などの図形を描画できます。
- スタンプ/リアクション: チェックマークや星印などのスタンプを押すことができます。簡単な合意形成や反応を示すのに使えます。
- ポインター/レーザーポインター: 特定の箇所を指し示して説明する際に使用します。
- 元に戻す/やり直し: 直前の操作を取り消したり、元に戻したりします。
- 選択ツール: 書いた内容を選択して移動、拡大縮小、削除などができます。
3. 参加者への書き込み権限付与
初期設定では講師のみが書き込めるツールもあれば、全員が書き込める設定になっているツールもあります。受講者にも書き込んでもらいたい場合は、必要に応じて権限設定を確認し、許可してください。
- Zoom: 画面共有中のツールバーにある「オプションを表示」(または「その他」)から、「参加者の注釈を有効にする」(Enable Annotation for others)などの設定を変更します。
- Microsoft Teams: Whiteboard上で、参加者の編集権限を設定できます。
- Google Meet (Jamboard): Jamboardの共有設定で、参加者に「編集者」権限を与えます。
4. ホワイトボードの保存
議論の内容やアイデアを記録しておきたい場合は、ホワイトボードの内容を画像ファイルなどとして保存できます。ツールバーに保存オプションがあるか確認してください。
教育・研修における実践的な活用アイデア
共有ホワイトボード機能は、工夫次第で様々な教育・研修活動に活用できます。
1. アイスブレイクや簡単な意見交換に
- 自己紹介: 簡単な自己紹介(名前、今日の気分など)を各自が書き込む。
- 今日の目標: 本日の授業・研修で学びたいことや期待することを自由に書き出してもらう。
- 簡単な質問への回答: 「〇〇について知っていることは?」など、簡単な質問への回答を一人一人が書き込むことで、参加者の予備知識や関心を確認する。
2. 共同でのアイデア出し(ブレインストーミング)に
- テーマ設定: 特定のテーマについて、思いつくキーワードやアイデアを制限なく書き出してもらう。
- グルーピング: 出されたアイデアを関連性の高いもの同士でグループ化する。
- KJ法(簡易版): 付箋機能やテキストツールを使ってアイデアを出し合い、整理する。
3. 質疑応答や疑問点の可視化に
- 質問ボード: 授業・研修中に生じた疑問点をホワイトボードに書き出してもらうエリアを設ける。
- 理解度チェック: 特定のトピックについて「理解できたこと」「もう少し説明してほしいこと」などを書き込んでもらう。
4. 共同での問題解決や演習に
- 図解作成: 複雑な概念やプロセスを、参加者と一緒に図やフローチャートにして整理する。
- 演習問題の解答: 簡単な計算問題や論理パズルの解答を、参加者が書き込んで共有する。
- 共同編集: 文章の構成案を一緒に練ったり、簡単な計画を共同で作成したりする。
5. 図解や板書機能の代替として
- 講師が手書きで図やグラフを描画して説明する。
- 受講者に図を描いてもらい、考え方を共有してもらう。
共有ホワイトボード機能活用上の注意点
共有ホワイトボード機能は便利ですが、円滑な利用のためにはいくつかの注意点があります。
- 事前の操作練習: 講師は、ツールバーの各機能(ペン、消しゴム、テキスト、権限設定など)を事前に操作して慣れておくことが重要です。
- 参加者への簡単な操作説明: 実際に活用する前に、受講者に対して基本的な書き込み方や消し方、権限について簡潔に説明するとスムーズです。特に技術に不慣れな受講者がいる場合は丁寧に案内しましょう。
- 画面の乱れへの対応: 多数の参加者が同時に書き込むと画面が見づらくなることがあります。必要に応じて「全ての注釈を消去」する機能を使ったり、一時的に書き込み権限を講師のみに戻したりする準備をしておくと良いでしょう。
- 共有範囲の管理: 重要な情報やプライベートな内容が書き込まれないよう、利用目的を明確に伝え、適切に管理してください。
- 保存方法の確認: 共同で作成した内容を後で振り返るために、保存方法を確認し、必要に応じて実施してください。
- 通信環境への影響: 多くの参加者が同時に操作すると、通信環境によっては表示が遅延したり不安定になったりする可能性があります。
まとめ
共有ホワイトボード機能は、オンライン授業やウェビナーにおいて、受講者の能動的な参加を促し、視覚的な情報共有を通じて理解を深めるための強力なツールです。基本操作をマスターし、本記事で紹介したような実践的なアイデアを参考に、ぜひご自身の教育・研修に取り入れてみてください。
事前の準備と、受講者への丁寧な案内を心がけることで、技術に不慣れな方でも安心して活用を進めることができるはずです。オンラインでの「共に学ぶ場」を創出するために、共有ホワイトボード機能を有効活用していきましょう。