オンライン授業・ウェビナー大全

オンライン教育・研修での書画カメラ・タブレット活用法:機材選びから授業での実践まで

Tags: 書画カメラ, タブレット, 機材, オンライン授業, ウェビナー

オンライン教育や研修におけるライブ配信(オンライン授業、ウェビナー)では、講師が話すだけでなく、視覚的な情報を効果的に提示することが重要です。特に、板書をしたり、手元での作業を示したり、資料に直接書き込みを加えたりといったアナログな表現は、受講者の理解を深める上で有効な手段となり得ます。このようなニーズに応えるために、書画カメラやタブレットといった外部デバイスの活用が注目されています。

本記事では、オンライン教育・研修の現場で書画カメラやタブレットを効果的に活用するための具体的な方法について、機材の選び方から接続設定、実際の授業での応用例、そしてよくあるトラブルへの対処法までを解説いたします。技術的な詳細に不慣れな方でもご理解いただけるよう、平易な言葉での解説を心がけます。

なぜ書画カメラやタブレットを活用するのか?

オンラインでのライブ配信において、講師のカメラ映像と画面共有だけでは伝えきれない情報があります。例えば、以下のような状況です。

これらのニーズに対応するために、書画カメラやタブレットが有力なツールとなります。

書画カメラとは?

書画カメラ(実物投影機とも呼ばれます)は、机の上に置いた書類や立体物をカメラで捉え、その映像をPCやプロジェクターに映し出すための機器です。オンライン配信では、このカメラで捉えた映像を画面共有機能を使って受講者に表示させます。

書画カメラのメリット

書画カメラのデメリット

タブレットとは?

ここでいうタブレットは、iPadやAndroidタブレット、あるいはWindowsタブレット(Surfaceなど)を指します。これらを手書き入力デバイスとして活用します。多くの場合、PCと連携させ、タブレットの画面をPCに表示させたり、PC上の画面にタブレットから書き込んだりします。

タブレットのメリット

タブレットのデメリット

どちらを選ぶか?目的別の選び方

書画カメラとタブレットは、それぞれ得意なことが異なります。どちらが適しているかは、主に何を映したいか、どのような操作をしたいかによって判断します。

具体的な機材選びのポイント

書画カメラ

タブレット

書画カメラの接続と設定方法

  1. ハードウェア接続: 書画カメラを付属のUSBケーブルでPCに接続します。
  2. ドライバー/ソフトウェアのインストール: 必要に応じて、メーカーのウェブサイトから専用ドライバーや映像表示ソフトウェアをダウンロード・インストールします。
  3. カメラ映像の表示: 付属ソフトウェアを起動するか、PCのカメラアプリなどで書画カメラを選択し、机上の対象物が映るか確認します。
  4. 配信ツールでの設定:
    • Zoom, Teams, Google Meetなどの配信ツールの設定を開きます。
    • 「カメラ」の項目で、PC内蔵カメラではなく接続した書画カメラの名前を選択します。
    • ツールによっては、書画カメラの映像を「画面共有」機能で共有する方が高画質になる場合があります。「画面共有」で「セカンドカメラ」や「コンテンツフロムカメラ」などのオプションを選択し、書画カメラを選びます。
    • 映像の向きが逆になっていないか確認し、必要であればツールの設定で回転させます。

タブレットの接続と設定方法

タブレットをどのように活用するかによって接続・設定方法が異なります。

方法1:タブレットをPCの拡張・複製ディスプレイとして使う(画面に直接書き込みたい場合)

  1. PCとタブレットの連携設定:
    • Windowsの場合、「Windows Ink ワークスペース」や設定の「システム」>「プロジェクション」機能を利用できる場合があります(対応機種による)。
    • iPadとMacの場合、「Sidecar」機能が利用できます(対応機種による)。
    • 汎用的な方法として、Duet DisplayやLuna Displayのような有料アプリを使って、タブレットをPCのサブディスプレイとして機能させる方法があります。
  2. 配信ツールでの共有:
    • タブレットがPCの画面の一部として認識されたら、配信ツールの画面共有機能を使用します。
    • PC側で、タブレットに表示させたいアプリケーション(PDFビューワー、ホワイトボードアプリ、PowerPointのスライドショーなど)をタブレット側の画面に移動させます。
    • 配信ツールで、タブレット側の画面全体、またはタブレット側に表示させた特定のアプリケーションウィンドウを選択して共有します。
    • タブレット側でペンを使って書き込みを行います。その書き込みは共有画面上にリアルタイムで表示されます。

方法2:タブレットをペンタブレットとして使う(PCの画面を見ながら書き込みたい場合)

  1. ハードウェア接続: タブレットをPCにUSBケーブルやBluetoothで接続します。液タブの場合は画面出力ケーブル(HDMIなど)も必要です。
  2. ドライバー/ソフトウェアのインストール: 必要に応じて、メーカーのウェブサイトからドライバーをダウンロード・インストールします。
  3. 書き込みツールの準備: PC上で、書き込みたいアプリケーション(OneNote, Photoshop, PowerPointのスライドショーモードのペン機能など)を開きます。
  4. 配信ツールでの共有:
    • PCの画面全体または書き込みを行うアプリケーションウィンドウを配信ツールで共有します。
    • タブレットを使ってPC画面に表示されている内容に書き込みます。書き込み内容は共有画面に表示されます。

方法3:タブレット単体でホワイトボードアプリなどを使い、その画面を共有する

  1. タブレット側の準備: タブレット単体で動作するホワイトボードアプリなどを起動します。
  2. 配信ツールでの共有:
    • 配信ツールがタブレットにもインストールされている場合、タブレットから会議に参加し、タブレットの画面共有機能を使ってホワイトボードアプリの画面を共有します。
    • PCから参加している場合は、タブレット側の画面をPCにミラーリング表示させ、そのミラーリング表示されているウィンドウをPCから共有する方法もあります(アプリやOSの機能を使います)。

授業・ウェビナーでの効果的な活用例

よくあるトラブルとその対処法

まとめ

オンライン教育・研修におけるライブ配信では、書画カメラやタブレットといった外部デバイスを活用することで、アナログ的な板書や手元での実演、デジタル資料への書き込みといった表現が可能になり、受講者の理解を深める助けとなります。

どちらのデバイスを選ぶかは、主に「何を映したいか」という目的に依存します。紙媒体や立体物を扱いたい場合は書画カメラ、デジタル資料への書き込みやデジタルホワイトボードを使いたい場合はタブレットが適しています。

これらのデバイスを効果的に活用するためには、機材の選び方、PCや配信ツールとの正確な接続・設定、そして授業での具体的な応用方法を理解することが重要です。また、発生しうるトラブルへの基本的な対処法を知っておくことで、落ち着いて対応することができます。

初めての導入には戸惑いがあるかもしれませんが、事前に機材の仕様を確認し、PCとの接続テストや配信ツールでの表示テストを十分に行うことで、スムーズなライブ配信を実現できるでしょう。ぜひ、これらの外部デバイスを活用して、より豊かで分かりやすいオンライン教育・研修を目指してください。